デザインプロセス事例2

小さく始めて大きく育てる、生成AIプロダクトのデザイン。すくすくレポート開発プロジェクト

「ルクミー」には、ユーザーである保育者の方々が日々蓄積されているさまざまな保育データがあります。
これらのデータとAI技術を活用することで、こどもの育ちを可視化し、保育者がこどもと向き合う時間を増やせるのではないか。保育現場の記録をより一層未来に活かすために立ち上がったのが「ルクミーすくすくレポート」です。
ルクミーの各サービス(フォト、連絡帳、帳票管理など)から集まる写真やテキストデータが、中央のノートパソコンに集約され「すくすくレポート」として出力されるイメージ図。
 

プロジェクトにおけるデザイナーの役割

プロダクトデザイナーは企画段階のリサーチからUIデザインまで、コミュニケーションデザイナーはパンフレットやWebサイトでのブランディング、アワード応募の資料など幅広く担当しました。
プロジェクトの進行フロー図。プロダクトデザイナーは企画からβ版UI作成までを担当し、コミュニケーションデザイナーはマーケティングやデザイン賞応募などの対外的な展開を担当していることを示している。
 

プロダクトデザイン

Webプロトタイプとβ版のUIデザイン

すくすくレポートでは、プロダクト立ち上げに際して複数回のリサーチを実施し、プロダクトのあるべき姿を検証していきました。プロダクトデザイナーはそれぞれの段階に適したUI設計・UIデザインを行いました。
「Webプロトタイプを使用したヒアリング」と「β版」の2段階における、利用者・検証内容・必要なアウトプットを整理した比較表。プロトタイプでは出力されるレポートがユーザーの課題解決になり得るかを検証し、β版ではプロダクト全体の体験がユーザーにとって価値あるものかを検証しました。
プロトタイプ版とβ版のUI比較。最小限の機能からデザインルールへの準拠、リストの2画面分割、視覚負荷を下げた配色、案内イラストの追加など、改善のポイントが示されている。
 

生成AIプロダクトならではのデザイン

使い慣れたルクミーの画面からかんたんにAIレポートが作成できる体験を、開発チームとともに作りました。ユーザーが難しい操作やプロンプト入力のない設計です。
「対象を選択」「作成ボタンをクリック」「期間を選択」「開始ボタンをクリック」の4ステップで完了する、レポート作成のシンプルな操作フロー。
 
また、AIの出力内容に関する注意文やフィードバックフォームを配置。適切にAI機能を利用していただくため、誠実なUI作りを心がけています。
AI生成文に対する注意喚起のメッセージと、生成結果に対するフィードバック用リンクが配置された実際の操作画面のUI。
 
AIが実行される操作には「グラデーション」、通常の操作には「単色」とボタンのあしらいを変え、システムが動く瞬間をさりげなく、直感的に区別できるようにしました。
UIパーツの比較。「作成する」「比較する」などのAI関連ボタンはグラデーション、「保存する」「戻る」などの通常ボタンは単色になっています。
 

コミュニケーションデザイン

顧客とのタッチポイント

コミュニケーションデザイナーは、ブランドサイトやパンフレットなどで一貫したメッセージとプロダクトの価値を伝えています。
顧客ごとに生成AIへの知識や関心の程度はさまざまであることを考慮し、「ルクミーの保育AIは保育者の仕事を奪うものではなく、保育者のサポーターのような存在」というメッセージとともに、保育現場にどのように寄り添えるのかをイラストや図を使って説明しました。
  • 「サポーター」という立ち位置: 「AIは保育者の仕事を奪うものではなく、寄り添う存在」という想いを、あたたかみのあるイラストや図解で言語化し、各媒体に展開しました。
  • 利用シーンに応じた題字デザイン: 管理画面ではブランドルールを順守しつつ、広告やサイトではプロダクト名がより印象に残る独自の「題字(ロゴ)」を制作。認知から利用開始まで、スムーズな体験を設計しています。
保育現場をイメージしたあたたかいイラストが用いられているカラフルなパンフレット誌面と、ブランドロゴ・媒体ごとの印象的な題字デザインのバリエーション。
 

顧客以外とのタッチポイント

キッズデザイン賞への応募を機に、顧客以外にもプロダクト概要やデザインの意図を伝えるためのストーリー構築を推進しました。
「作品の概要:すくすくレポート」。保育現場の記録からAIで子どもの育ちを可視化するサービス。利用対象は保育者で、保育計画作成や面談での活用を想定している。
「保育園の現状課題」。貴重な記録が業務の忙しさで十分に活用されていない現状を指摘。ユーザーリサーチで見えた保育者の「もやもや感」を解決し、ゆとりある保育を目指す着眼点の説明。
「課題へのアプローチ:日々の業務の延長で自然に使える体験設計」。AIテクノロジー、UIデザイン、UXデザインの3要素を掛け合わせ、保育者に負担をかけず、あえてAIを意識させない使い慣れたUIで提供する方針。
「プロトタイプ検証結果」。保育者へのインタビューに基づき、業務負担軽減や人材育成、保護者とのコミュニケーションに有効であるとの評価。生成された文章へのポジティブな反応(87%)などのデータを含む。